涙と笑顔のあいだ

HSC(ひといちばい敏感な子)高1ひとりっ子男子(2024年4月現在)の子育てを通し成長させてもらいながら、日常のモヤモヤの純度を上げるべく綴る50代ライターのブログ

『空気を読んでも従わない』を読みました!

友だちがSNSで紹介してくれていた『空気を読んでも従わない:生き苦しさからラクになる』鴻上尚史・著 岩波ジュニア新書を読みました。

 

 

実は、最初は、私本人というよりは、「HSC(ひといちばい敏感な子)と思われる小5の息子に読んでもらいたいということで図書館で借りてきました。

 

でもまずは自分で読んでみようと思ったのです。

現在まだ息子は途中までしか読んでいない状態です。

 

本の内容をまとめるのが苦手なので、amazonの説明欄から引用させてもらいます。

 

内容紹介
「個性」が大事というけれど、集団の中であまり目立つと浮いてしまう、他人の視線を気にしながら、本当の自分は抑えつけていかないと……。この社会はどうしてこんなに息苦しいのだろう。もっと自分らしく、伸び伸びと生きていきたい! そんな悩みをかかえるアナタにとっておきのアドバイス。「空気」を読んでも従わない生き方のすすめ。

内容(「BOOK」データベースより)
どうしてこんなに周りの目が気になるの?どうしてこんなに先輩に従わないといけないの?どうしてこんなにラインやメールが気になるの?それはあなたが弱いからではなく、すべて理由がある。そのヒミツを知れば、あなたはうんと生きやすくなる。

 

 この本は「岩波ジュニア新書」ということで10代から読める新書です。

しかし、ジュニアと言えども侮れず、大人も考えさせられる内容でした。

 

少しネタバレというか、内容に触れた形の感想になってしまうので、これから純粋に読みたい方は読むのを控えていただけたらと思うのですが、感想を書きたいと思います。

 

この本で語られていることは、とても身近なのに、目から鱗というか、「あ、確かに!」と思わせられる盲点のようなものに感じました。

それは、日常に溶け込みすぎていて「当たり前」に感じていることだからだと思います。

日本人の「人との距離感」、「距離の取り方」について実に明快に解説してくれています。

それは「世間」と「社会」という区別です。

私は読みながら、ああ、私は本当に日本人なんだなって感じました。それも、昔ながらの。

 

私はずっと「世間」をいい意味でも悪い意味でもとても大切にしたのだと感じました。

そのせいで自分自身が苦しめられたし、他人を苦しめたことも少なからずあったのだと改めて自覚し、正直つらくなりました。

ちょうど、息子と同じくらいの小学校高学年の時には、学級委員として正に「クラス」を「世間」にし「空気」作り出し、そこに馴染まない仲間を、先生公認も下、馴染ませようと努力さえしていました。それをいいことだと思っていたのです。

そんな過去を思い出し、気持ちが沈みました。

「時代」というか、それこそ「空気」を読んで率先して忖度していたんだと思います、先生に。

 

今、息子が暮らしている時代は、多様性を認めようとされている時代です。実態もそうである、とは言い切れないけれど、少なくとも、そういう流れになっているなと感じます。

それはとてもいいことだと思います。

けれども、ふとした時に、私の中に染みついた「べき論」がむっくり顔を出してしまい、「右へ倣え」というか、「みんな一緒の方が楽であり、かつ安心だ」という感覚が未だにあります。

それが、怖いなと感じます。

 

この本が素晴らしいのは、若い人に

“「世間」と「社会」が日本にはあるけれど、外国、特に、欧米には「世間」はないよ”と言いつつ、じゃあ、日本に残っている「世間」を全くないがしろにしているのか? というと、そういうわけでもないということです。

 

理不尽な強力な「世間」と戦う術を、若者が実現可能な形で教えてくれています。

“従うところは従いつつ、主張するところは主張する”という形です。

もちろん、それにも、相当の勇気が必要だと思いますが、それでも、ただ尖って、それこそ、正論を主張するわけではないところが素敵だなと思いました。

 

たくさん心に残ったのですが、一番心に残ったのは、「たったひとつの『強い』世間に属するのではなく、複数の『弱い』世間に属するのがいい」という内容のことが書かれているところです。

 

私は帰属意識が強い人間で、組織に所属するとどっぷりと浸かるタイプです。むしろ、どっぷりと浸かりたがります。しかし、それゆえの弊害もたくさんありました。

つい仲間に自分を同じ温度を求めてしまうこともあり、そんな自分を面倒臭いなと感じます。

 

だからこそ、複数の「『弱い』世間」や、「社会」とつながることにより、もっと生きやすくなるのではないかと思えました。

 

息子にはもしかするとこの本を読む時期としては少し早く、難しいかもしれませんが、もし興味を持ち続けてくれたら読み終えて欲しいし、もし読了できなかったとしたらあらすじだけでも伝えようと思います。

 

最近、息子の影響で、子ども向けの「生き方」や「心の問題」についての本をよく読みます。

それぞれとてもわかりやすいです。

子ども用に書いてくれている著者の方々には本当に感謝です。

 

失敗が嫌いで、石橋を叩いて生きてきたはずなのに、大人になって振り返った時、実は大きな失敗をしていたのだと気づいたり、人を傷つけていたなと反省すべき点がたくさん見つかっています。

「時代」とか「文化」とかのせいかもしれないですが、心苦しいです。

もう戻れないですが、反省すべきは反省し、その時の自分を許しながら、これからも少しずつ人として成長していけたらなと思います。