約20年前に、
上野の東京文化会館で、
年末に開かれるベートーベンの第九のコンサートの合唱団を
募集していました。
確か、
東京都に在住か在勤の希望者から
抽選で選ばれるものでした。
私は、歌が好きだったので、
何でもいいから歌う機会が欲しくて、
「第九と何か」もよくわからないまま
勢いで応募しました。
その時の、
つぶやきが書かれたノートの切れ端を見つけたので、
今日はそれをうつしたいと思います。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
『第九』
歌が好き。だから歌いたい。
こんな簡単な理由で、第九を申し込んだ。
練習日とか、レベルとかあんまり考えずに、なんとかなるさ、
ダメだったらやめちゃえなんて気軽に考えていた。
いつもの私じゃなかった。前向きに生きよう。
何でもチャレンジしてやろう。
案ずるより産むがやすし。
なんて、
180°違った私になろうとしていた矢先の話だったから。
でも現実は決して甘くはなかった。
申し込み時に、熱く燃えていた情熱の火も、
薪をくべなきゃ消えそうな頃、通知が届いた。
入団できるこのこと。
半ば嬉しく、半ばまいったなーって感じだった。
何せ、月曜日18:30に上野へ行くから、
18:00に銀座で仕事が終わってすぐ行っても、
間に合うかどうかなのに、
定時に終わるかどうかもわからないから…。
(当時、銀行員で勤務していた支店が銀座にありました)
でも、一応行って、
遅れてもいいか交渉してみようと思いって、行ったら、
思っていた以上に本格的でびっくりしてしまった。
最初の挨拶で、運営の方が、
「休むのはもってのほか、遅刻も許しません。
抽選で外れた人の分も、みなさん責任もって練習して全員出られるように」
と言われ、緊張していたのが、さらに硬直してしまった。
もう始まってしまったのだから、貫き通すしかない。
そう決心していた。あとは、職場との折り合いが…。
まず、先輩に言うと、驚いて、そして応援してくれた。
月・木は、【私の早帰り日】としてくれて、協力してもらった。
お礼に、本番に、招待しようと決めた。
少し遅れたりしたけど、
ほとんど、間に合った、職場のみなさんのおかげで。
そして、人の心の温かさを感じた。
脇にできたしこり
(良性のものだけど、突然切ることになったもの)の
日帰り手術の日も、
風邪の日も練習を休まなかった。
そして、自分の強さにちょっとびっくりした。
また、練習の中で、
本物っていうか“生”、生きていることのすごさ、声は生きているんだ!
人は人からエネルギーをもらって強くなれるんだと感じた。
途中、声が出なくて、聴くばっかりの時には、
『動』の練習から、『静』の練習ができた。
逆境の中で人は成長すると聞くけど、
そんなことがちょっとわかったような気もした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
以上が20代前半に書いたつぶやきです。
人生の中で、無性に、新しい事に挑戦したい時期が、
何度かありまして、
その、ひとつの時期が、20代前半でした。
この時期には、初めて一人旅もしました。
今現在も、挑戦したい時期に差し掛かっているように
思えます。
このつぶやきを書いたあと、
実際に、
協力してくれた職場の先輩をコンサートの招待し、
感動したと言っていただきました。
私も、はじめて、舞台側から、
指揮者の方の表情や観客のみなさんを見て、
何とも言えない高揚感を味わいました。
文章に残していたことで、思い出がよみがえります。
またいつか、第九を歌ってみたいです。
ちなみに、ソプラノで申し込みましたが、
声が出ず、アルトとして参加しました(^_^;)
挑戦って素晴らしい!