今日、PTAの卓球の試合に臨んだのだが、残念ながら、結果は散々なものだった。
地区大会で優勝、準優勝になったチームが、今日の区の本大会に計16チーム集まり、優勝を競ったのだ。
私たちは、9月にあった地区大会で準優勝だったので、今日の区の本大会に出場できることになった。
しかし、11月に入って、卓球部のメンバーが立て続けに体調を崩したり、どうしても譲れない用事が入ったりして、女性5名、男性1名という最低限必要な人数を下回ってしまった。
そのため、このままでは親善試合になってしまうという危機に陥ったのだ。
その助っ人を探す話については、前回の記事に書いた。
ありがたいことにその「どうしても誰もいなかったら出てもいいよ」と言ってくれた友人に助っ人をお願いし、今日、本大会当日を迎えることができた。
ただ出てくれるだけでいい!
そう言いながらも、彼女がどれくらい卓球経験があるか知っておきたかったので聞くと、子どもと一緒に温泉卓球をしたことがあるということだった。
温泉卓球をした、ということは、おそらく、数回のラリーは、ゆるい球なら打てると判断した。
しかし、おそらく、サーブについては誤解していることがありそうだと思った。
「サーブなんだけど、一回卓球台に落としてから打つ打ち方かな? いつも」
「あ。そうかも」
「実はね、卓球の試合は手のひらに球を置いて一旦静止し、16㎝以上上げてそれが落ちてきたところをラケットで打って、一回自分のコートにワンバウンドして、相手のコートに入れないといけないんだけど……ああ、こうやって口頭で言ってもわかりにくいよね?」
「あ。うん……」
「じゃあ、あとでyoutubeの動画のリンクを送るね。それと卓球のルールも」
「わかった。見ておく」
そんなやり取りがあり、私は昨日の午後2時くらいにその動画やルールのサイトのリンクを彼女に送った。
もしも私が同じ立場だったら……。
そう考えると、私の場合は、たくさん情報があった方が安心できるなと思ったから、できるだけたくさんの情報を送ったのだ。
しかし、もしかすると、たくさん送られることによりプレッシャーを感じたり、余計に不安になる人もいるかもしれない。
吉と出るか凶と出るか……。
結果は、吉と出たのだと思いたいが、彼女の行動は私の想像をはるかに超えていた!
それは何かと言うと、彼女は、昨日の夕方、娘さんのスイミングの送迎で体育館に訪れ、その待ち時間に、体育館の卓球台が空いていることを確認すると、もう一人の娘さん相手に卓球のサーブの練習をしてくれたのだった!!
なんと!
彼女は、とても誠実で、真面目で責任感があるところがある。
それは知っていたのだけど、だからこそ「誰もいなかったら出てもいいよ」と言ってくれたのだけど、まさか、そこまで律儀に練習してくれるとは思わなかった。
心から尊敬と感謝の気持ちが湧き出てきた。
そして、試合会場について、ほんの数分間だけ、肩慣らしに練習をした。
私は、その時間にどうにかサーブの練習ができたらと思っていたけれど、ままならなかったので、彼女が昨日までに何回かでもサーブの練習をしてくれたことに感謝した。
と同時に自分がyoutubeの動画を送ったことを、少しだけ誇らしく思った。
試合は全部で4試合あった。
私たち卓球部の面々は、試合の臨みそれぞれの課題にぶち当たった。
勝てた試合もあれば、負けた試合もある。
負けた試合も、もう少しで勝てたはずなのに競り負けたりして悔しかった。
一方で、そんな私たちとは少し別の次元で、助っ人の彼女は、ひと試合ひと試合こなす度に、どんどん進化していったのだ。
サーブも上手くなったし、ラリーもどんどん続くようになった。
フォアハンドよりも、バックハンドの方が得意らしく、打球も低くとてもよかった。
お昼休みに、ラケットの角度について聞かれたので、知ってる範囲で説明したら、
「へーなるほど! じゃあ、余裕がもしあったら試してみる」
と言ってくれた。
そして午後の試合はさらに良くなった!
冒頭に書いたとおり、今日の試合の結果は散々だった。
それぞれ勝ったセット、勝ったゲームはあったけど、ひとつもチームとして勝つことはできなかった。
そのことはとても残念だったし、とても悔しかった。
だけど、今回はいろいろと気づくことがあって勝利よりも大切なものを味わった気がしたのだ。
そのひとつが、助っ人の彼女の善意と思いやりと誠実さと努力などだ。
また、具合が悪くなり、めまいでクラクラしてるはずなのに、待ち合わせ場所に来てくれたチームのエースの熱い想い。
結局、「無理してほしくない」というメンバーの総意で帰ってもらったのだけど、彼女の顔を見たら、もっと頑張らないと、と思ったのだ。
それから、今回、こうして人数が集まらなくて助っ人を探す事態になり、普段、メンバーが足りていることへの「当たり前ではないのだ」という感謝の気持ちが改めて湧いてきた。
そして、健康であること、家族が送り出してくれること、仲間がいることなど次々と「当たり前ではない」奇跡を感じることができたのだ。
決して美談にして終わりにしたいわけではない。
それは負けるよりも勝つ方がいいに決まってる。
だけど、勝つことができなくても、こうして試合に出ることによって、いろいろなことを感じることができたことがとても嬉しくて書き留めておきたかったのだ。
試合に出られなかったエースの彼女に、さっきLINEを送った。
いつも私にアドバイスとくれたり、励ましてくれる存在だったから、今日の報告をしたかったのだ。
そのやり取りで彼女がいかに試合に出たかったのか、という思いが伝わって来た。
今、息子は小学5年生。
だから、来年が私のPTA卓球部の一員としてのラストイヤーになる。
もう少し上手くなって、今より、高みを目指したいな。
彼女とやり取りしていて、そう思った。
「練習がんばるね!」
試合に出られなかったエースの彼女になんて言っていいかわからなくて、私は、そうLINEした。
笑顔のスタンプを見て、少しホッとした。