涙と笑顔のあいだ

HSC(ひといちばい敏感な子)高1ひとりっ子男子(2024年4月現在)の子育てを通し成長させてもらいながら、日常のモヤモヤの純度を上げるべく綴る50代ライターのブログ

診察券の枚数が増えても、ママ友には言わない理由【前編】

歯科:2枚

耳鼻科:2枚

眼科:2枚

小児科:5枚

総合病院:2枚

計 13枚

 

まだ、この世に生まれて8年と少ししか経っていないのに、息子は、これだけの診察券を持っている。

もちろん、これは、息子の意志ではなく、紛れもなく、私が連れて行ったために、作られた診察券だけれど、最初から、こんなに増やすつもりなんて、全くなかった。

 

引っ越しやら、なにやら理由があって、知らない間にこんなに増えてしまった。

 

その中で、小児科5枚の中に、スペシャルな1枚がある!

それは、7年間お世話になっている小児科で、引っ越して、かなり遠くなっても、先生が好きすぎて、通い続けている。

 

総合病院の診察券は2枚あるけれど、これは、息子が生まれた病院と、救急車で運ばれた病院で2枚だ。

 

そう、息子は、1歳2ヶ月にして、初めて救急車の乗ったのだ!

もしかすると、私にもっと知識や力があったら、息子は、救急車で運ばれずに済んだのかもしれない。

だけど、あの時の私は、自分なりに精一杯だったんだ……。

 

2010年1月28日(木)

旦那が、体調が悪く会社を休んだ。内科へ行くと、お腹の風邪だと言われたらしい。

旦那は、もともと、腸が弱かったので、たまたま、弱いお腹に、風邪の症状が現れたんだろうと思っていた。

確かに、吐き気がするとか、お腹が痛いと言ってはいたけれど、しばらくしたら、治るだろうと、あまり、深刻に捉えていなかった。

 

2010年1月29日(金)

旦那は、まだ本調子ではなかったけれど、とりあえず、吐き気は治まったからと、出社した。

私と息子は、日常に戻り、朝から穏やかに、過ごしていた。

いつも通りの食事とフォローアップミルクを飲ませて、昼間散歩にも行った。

ところが、19:30頃、入浴後の着替えを済ませた息子は、真顔のまま、突然嘔吐した。

その嘔吐物は、小さな息子から、半径1.5mくらいの扇状にぶちまかれるように、噴射されていた。

それまで、飲んだミルクや食べたものを吐いたことはあったけれど、そんなに派手に吐かれたことは初めてだったから、私は、すごく驚いた顔をしていたのかもしれない。

その顔に驚いたのか、それとも、自分が突然吐いたことに驚いたのかはわからないけれど、息子が泣き出し、私も、今、何をすればいいのかと戸惑った。

 

大丈夫! 大丈夫! 冷静に! 冷静に! ひとつひとつやっていけばいいんだよ!

 

と、自分に言い聞かせて、まずは、息子の顔を拭き、洋服を着替えさせた。

それでも泣き止まない息子を、仕方がないので、おんぶして、私は、後片付けすることにした。

 

私は、まだ、その時、そのことが、大惨事に繋がるとは気がついていなかった。

 

息子をおぶったまま、ぞうきんで、床を拭き始めた。半分くらい拭き終わった時に、ゴボッと、音がしたかと思うと、背中が生温かく湿った。

息子が、また嘔吐したのだった。

 

「ひー」

と、私は、声を上げた。

また、息子が泣き出した。

そして、私も泣いた。

 

ひとしきり泣いた後、泣いていても仕方ないので、息子を床におろした。

嘔吐物にまみれた息子を見て、また泣けてきた。

 

大丈夫……ひとつひとつやっていけばいいんだ……

 

自分に言い聞かせた声すら、今度は、泣きそうになっていた。

 

なるべく、仕事中の旦那には電話はしないようにしていたけれど、その時ばかりは、一刻も早く帰ってきてほしくて、電話をしてしまった。

 

「大量に吐いて……おんぶして、掃除していたら……また吐いて……」

うまく説明できなかったけれど、私の声の様子から、非常事態だと伝わったらしく、なるべく早く帰ると言ってくれた。

 

電話を切ってから、嘔吐物まみれの息子を見て、我に返った。

順番が逆だった!

「ごめん、すぐにきれいにするからね」

そう言って、もう一度、シャワーをかけてから着替えさせて、今度は、バスタオルを引いた座布団の上に横向きに寝かせた。

「お母さん、掃除しちゃうから、待っててね」

ひきつる笑顔をどうにか作りながら、息子に声をかけ、床の掃除と、自分の着替えをした。髪の毛まで汚れていて、悲しくなった。

 

それからは、しばらくは、嘔吐はしなかった。

まだ、しっかりしゃべれないので、症状はよくわからないけれど、顔色はあまりよくなかった。

旦那が帰ってきてから、どうするか相談し、タクシーで、救急病院へ行くことにした。

一度、治まっていたはずだけれど、タクシーの揺れでか、嘔吐が再開され、持って行ったビニール袋が役に立った。

しばらく、待たされて、診断されたのは、やはり、お腹の風邪だった。


ノロウィルスの可能性があると言われた。

吐き気止めと座薬をもらって帰った。

私も、その夜、嘔吐し、下痢をした。

 

2010年1月30日(土)

病院から帰って、布団に寝かすも、何度も吐いた。

「水分補給をしっかりしてください」と言われて、吐く度に、水分を飲ませていたから、吐き気が治まりにくかったのかもしれない。

朝一番で、内科と小児科の両方をやっている医院に行き、息子と私とふたりを診察してもらった。

昨日より、元気になってきた息子に、水分とフォローアップミルクをあげたら、まだ、与えるのが早すぎたらしく、夜に、全部嘔吐した。

 

2010年1月31日(日)

息子は、一日中泣いていた。

多分、お腹が空いていたんだと思う。

前日、水分をあげすぎて、吐き続けてしまった反省もあり、今度は、水分補給に慎重になっていた。

下痢も一日中続いていたので、どんどん水分が体内から減っていたのだった。

夜になっても、泣いていたので、私も追い詰められてしまった。

藁にも縋る思いで、♯7119に電話をした。

♯7119は「救急相談センター」といって、救急車を呼んだらいいか判断に迷った時に相談できる窓口だった。

ここ数日の経緯を説明し、アドバイスを求めると、電話口の優しい女性が、もっと水分を与えても大丈夫だと言ったので、それに従うことにした。

また大量に吐くんじゃないかと、警戒しながらも、おそるおそる多めに与えたけれど、この日は一度も吐かなかった。

このまま回復すればいいなと思っていた。それなのに……。

 

2010年2月1日(月)

朝一番で、当時の息子のかかりつけの小児科に行った。

すると、脱水状態だと言われた。下痢で失った水分はあまりにも多く、夜から補給した水分だけでは足りなかったようだった。

「薬を飲んで、水分補給をすれば大丈夫ですよ」

そう言われて、経口補水液OS-1を買い、安心して帰った。

しかし、その「薬」がくせ者だった。漢方薬だったのだ。

息子は、以前に、他の漢方が処方された時は、確か大丈夫だったのだけれど、成長と共に、味覚が発達したのか、とにかく、受け付けなかった。

薬を受け付けないだけなら、まだよかったのだけれど、それ以降、水も飲まなくなってしまったのだ。

途方に暮れて、お昼頃、小児科に相談すると、来てくださいと言われ、また行った。

今度は、お尻から、薬を入れましょうと言われて、注射器とチューブを渡された。

息子は、嫌がって泣いていたけれど、暴れる元気もなくじっと横になっていた。

その後ろ姿を見ていたら、涙が出てきてしまった。

家に帰っても、相変わらず、水分を受け付けなかった。

気がつけば、おしっこを全くしなくなっていて、泣いているのに、涙も出ていなかった。

これは、異常だ。どうしよう……。

たった今、病院から帰ってきたのに、気がついたら、また電話をしていた。

 

 

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 に続く……