涙と笑顔のあいだ

HSC(ひといちばい敏感な子)中1ひとりっ子男子の子育てを通し成長させてもらいながら、日常のモヤモヤの純度を上げるべく綴る40代主婦のブログ

息子が友だちの家にお呼ばれした日

昨日は、私たち親子にとって冒険の日だった。

 

息子が友だちの家にお呼ばれして遊びに行ったのだ。

 

あれ? もう小4だよね? と思われたかもしれないが、息子はHSC(ひといちばい敏感な子)という気質を持っているので、何事にも不安を感じやすく慎重なのだ。

 

だから、「お友だちを我が家に呼んで遊ぶ」ということには慣れたのだけれど、「お友達の家に遊びに行く」ことにはまだ慣れていない。

 

今までも、私の都合で、「今日は〇〇くんのうちで〇〇くんと一緒に留守番していて」と言って、私が〇〇くんのお母さんと打ち合わせて家まで連れて行き、また迎えに行くということは何度かしたのだけれど、息子自身がお友だちに誘ってもらって行くということは初めてだった。

 

へー! じゃあ、初めて自分でお友だちの家に行って帰ってきたんだね! と思われたかもしれないが、そこは、HSC、スモールステップを踏んでいる。

 

まず、お友だちのママから私宛に「ユウくんをうちの子が呼びたいと言っているんだ。今日、声をかけるけど、大丈夫かな?」とLINEをもらった。

 

私は、息子にそのLINEをもらったことを話して気持ちを聞いた。すると行きたいというので、ご招待を受けることにした。

 

しかし、スムーズにはいかない理由がある。

息子は最近ようやく1人で下校できるようになった。

ただし、交通安全のためにボランティアの方が信号のところに旗を持って立ってくれている時間限定であって、それ以外の道の一人歩きはまだできない状態なのだ……。

何度か挑戦してみようよと声をかけているものの、なかなか本人が納得せずにひとりで買い物に行くこともまだできていないのだ。

 

お友だちのママは、息子が繊細なことを知っているので、もし不安そうだったら私が送り迎えしてもいいんじゃないか、と助け舟を出してくれていた。

 

幸いその日はスイミングスクールがあって、おうちまで迎えに行くにはいい口実ではあった。

待ち合わせ場所に送りに行くのはちょっと過保護感ができしまうのでモヤモヤはしたのだけれど、家に呼んでくれたお友だちも、息子と同時に家に呼ばれた他のお友だちも、息子が繊細であることを知った上で付き合ってくれているので、私が待ち合わせ場所まで一緒に来ることにそんなに違和感を感じないで接してくれるだろうとは想像できた。

 

なので、私が待ち合わせ場所まで送り、帰りは、ご自宅まで迎えに行くということで、お呼ばれを受けることになった。

 

手厚さが目立つが、ある意味、またとないありがたいスモールステップの機会でもあった。

 

しかし、それ以外にもいくつか問題があった。

ひとつは時間だ。

息子の下校が13時。待ち合わせが14時。

私が学校のPTA室で仲間と一緒に作業する時間が13時から16時半くらい。

なので、私が一度PTA室に行き作業を途中で抜け出す。そして自宅に一度帰り息子を連れて待ち合わせ場所まで行き、また作業に戻らなければならなかった。

幸い学校までは家から5分で、待ち合わせ場所は学校の近くだったのでよかったと思った。

 

もうひとつは、息子と仲がいい子がお呼ばれした中にいなかったことだ。

今までだって、息子が呼ばれずにその子が他の子のうちに呼ばれることもあったから、お互いさまといえばそうなのだけれど、我が家に呼ぶ仲間のメンバーの多くが昨日呼ばれていたから息子の気持ちとしては複雑だったようだ。

 

なんとなく呼ばない。

人数的に呼ばない。

そういうわけではなく、昨日息子を招待してくれたお友だちは、彼を呼びたくなかったから呼ばなかったようなのだ。

 

ママから事情を聞いて、それは嫌な思いをしただろうなという出来事を知った。

だから、お友だちが自分の家には呼びたくないという気持ちもわかった。

 

事情を知った私は迷いながらも、息子が無邪気に誘ってしまうとよくないと思って、今回は彼が呼ばれていないこと、それには、呼んでくれたお友だちの気持ちがあることを伝えた。

だから、自分からは、自慢するように遊びに行くんだということは言わない方がいいと思うよ、でももし聞かれたら、呼ばれたから行くよという話はもちろんしていいと思うことも伝えた。

 

言葉は悪いけれど、こっそり行く予定だったのだけれど当日どうやら我が家の近所の子のうちの前で、彼が遊んでいるらしいと知った。

実際私がPTA室から戻ってくるときに、彼に会って「こんにちは」と挨拶した。

 

どうしよう……。

ちょっと不安な気持ちになった。

 

家に入って、息子に、彼は、今日、息子がお友だちの家に遊びに行くことを知っているのか聞いたら、知っていると言った。

経緯を聞いたところ、一昨日の時点で、お友だちが別のお友だちを誘っていたところに彼がきて「俺も行く」と言ったらしかった。

それで、どう話し合ったのかわからないけれど、彼は結局「行かない」と言ったそうだった。

「詳しいことは、よくわからないんだ」

息子はそう言った。

 

「行く」と言った子を「行かない」と言わせたその話し合いが気になったけれど、とりあえず今はその場を通って待ち合わせ場所に行くしかなかった。

 

私自身、どうするのがベストかわからなくていると、息子が

「いいよ。大丈夫。出発しよう」

と言った。

「う、うん。そうだね」

 

ドアを開けて共同玄関を出ると、彼と近所のお友だちが遊んでいた。

「あ、ユウくん!」

みんなが私たちを見た。

「ユウくん、じゃあね」

彼が言って、息子が、頷いた。

 

ちょっとだけ、彼の顔が寂しそうに見えたけれど私も

「じゃあね」

とだけ言ってその場を去った。

 

「ちょっと辛いね」

そう私が言ったら、息子は頷いた。

「でも、仕方ない。今日は、呼ばれる側だし、ユウが逆の立場になることもあるかもしれないし。とりあえず、今日は楽しんできな」

後でなんて余計なことを言ったんだろうと思ったけれど、その時は私が沈黙に耐えられなかったのだ。

 

約束の場所に着いて、お友だちに「よろしくね」と言ってPTA室に帰った。

みんなとおしゃべりをしながら年度末総会の資料を作って、今度はお友だちの家に息子を迎えに行ってスイミングに向かった。

 

結果的には息子が小さな一歩を歩むことができ楽しかったとも言っていたのでよかったのだけれど、やはり彼のことが気になった。

 

人には合う合わないとか、好き嫌いもあるから仕方ないと思う。

それも学び。

でも、人が嫌いって言うからと自分もその人を嫌いになる必要はない。

自分が好きなところを見て付き合えばいいよ。

 

そんな風に夜、私は息子に言って、また余計なことを言ったなと反省した。

 

そうしたら、息子が今朝「あいつが大泣きしている夢をみた」と言ったのだ。

「そうか……夢の中ででも、つらかったろうね」

 

小学校低学年の時は、休み時間もあまり友だちと遊ばないで校庭を散歩していると聞いて親として苦しかったけれど、だんだんと友だちと遊ぶ時間もできてきたところだ。

だから、揉め事には免疫があまりない。

 

それは、親としての私にも言えること。

 

人と交流すると楽しいこともいっぱいあるけれど、どうしても比べて劣等感とかあるいは優越感とか感じてしまったりもするし面倒なことも増える。

 

でも、そんな時こそ、シンプルに、なるべくプラスに考えてみようと思う。

 

留守番も短い時間ならできるようになった。

1人で学校から帰ってこられるようになった。

ひとりの時間だけでなく友だちとも楽しく遊べるようになった。

人間関係だって、少しずつ学んでいるんだ。

 

ないものを数えるとまだまだって不安も増すけれど、あるものを数えて少し冷静になってみよう。

 

HSCの子育ては何かと大変だけれど、気持ちをオープンにして周りに理解を求めて一緒に育ててもらえる環境には感謝している。

 

これからも助け合いながら子育てしていきたいと思う。