涙と笑顔のあいだ

HSC(ひといちばい敏感な子)中1ひとりっ子男子の子育てを通し成長させてもらいながら、日常のモヤモヤの純度を上げるべく綴る40代主婦のブログ

父の電話に少し苛立ち、そして悲しくなった理由

先日、仕事中に、私のスマホに着信がありました。

画面を見ると父のスマホからだとわかりました。

仕事中だし、会社の中だったし、申し訳ないけれど、電話には出ず、すぐにメールを送りました。

「ごめんね。今、仕事中なんだ。だから、あとでかけ直すね」

それは、11時くらいのことでした。

 

それから、2時間後の13時ごろ、また着信がありました。

外出中でした。

まだ仕事中なんだけどな……。

それとも急用かな?

 

少し胸騒ぎがしました。

外だし、少しならいいかな? と思って、今度は電話に出ました。

「もしもし?」

「あ! さっきは、ごめんな。俺、電話しちゃってたんだな」

どうやら、スマホをうっかり押してしまい、短縮で登録していたのか私に電話がかかってしまったようでした。

「ああ、大丈夫だよ」

「仕事中に悪かったな。あれ? もしかして、まだ仕事中か?」

「うん。実はそうなんだ」

一応、笑い声で、優しくは言ったつもりだったけれど

 

「ああ、本当に悪かったな」

もう一度謝らせてしまいました。

違うよ、仕事中じゃないよ。

そう、嘘をついてあげればよかったのに……。

 

家に帰って、旦那にその出来事を話しました。

「お父さん、『仕事中に電話かけちゃってごめんな』ってまた仕事中に電話かけてきちゃったんだよ。その辺り、年取って気を遣えなくなっちゃったのかなと思って……」

その時は、本当に、そう思ってしまったので、旦那に愚痴るように言ったのですが

「それくらいはさ、許してあげてよ」

そう返されて、ハッとしました。

私ったら、父に厳しいなと思いました。

もう81歳なのに。

「うちの母ちゃんなんか、仕事中に電話かけてくるなんてしょっちゅうだよ。ごめんねも言わないよ」

そうか……。

 

私の父や母は、とても人に気を遣う人だったので、年をとってそれができなくなることが、娘として、なんだか寂しかったのかもしれません。

 

街で、お年寄りに遭遇すると、労ろうって思うくせに、自分の父や母には、ずっと元気で居てほしくて、昔と比べて、できなくなってしまったことに、いちいちヤキモキします。

それは、ただのイラつきじゃなくて、年老いていく親への、娘としての寂しさや悲しさやがっかりした気持ちの裏返しかもしれないと思いました。

 

旦那は、義母のことをちゃんと受け止めて居てあげて優しいな、偉いなと感心し、その気持ちを伝えたら

「うちの母ちゃんは、昔からあんまり気を遣う人じゃなかったから、俺はあんまり期待していなんだよ」

そう言いました。

 

そうか、いろんな親子がいるんだな。

 

親のことを考えるとなんだか切なくなってしまう私は、まだ、甘ったれているのかもしれません。

 

息子に

「お母さん」

って当たり前のように呼ばれて、

「なに?」

って少しうるさそうに返事をしてしまう私は、息子にも甘えているのかもしれないですし。

 

なんだか泣きたくなってしまいました。

 

体はだんだん動かなくなって、だんだんと人に気も遣えなくなっていくんだと思うけれど、それでも、81歳になって娘にわざわざ「仕事中電話かけちゃってごめんな」って電話をかけてくれた父はすごいんだと思い直しました。

 

ああ、もしかすると、やたらと謝る父が、弱まってしまったようで寂しかったのかもしれません。

 

ひとしきり泣いてしまおう。

そしたら、また、日々の生活を送ろう。

 

どうしたって私は、ずっと、父と母の娘だし、そして、息子の母なのだから。