涙と笑顔のあいだ

ひといちばい敏感な小学生ひとりっ子男子の子育てを通し、母として成長させてもらいながら「ライター・小説家」になる夢も諦めない40代主婦のブログ

「ゲームのアプリを削除した」事実をどう捉えるか?

「そろそろ勉強しよう!」

午前中、私がそう声をかけても、なかなか息子はリビングに現れなかった。

 

「ねえ! 早めにやっちゃおうよ!」

何度目かの私の呼びかけに、不機嫌そうに現れて

「今、やろうと思っていたんだよ」

と吐き捨てるように言いながら、息子はテーブルに着いた。

 

それでも、なかなかやり始めないと思ったら、今度は、テーブルに突っ伏した。

なによー!

息子の態度に、イラっときたけれど、怒りをぶつけてしまうと、また、勉強の開始が遅れると思って、言葉を飲み込んだ。

 

だけど、どうしようかな? って思っていたら、突然、息子が

「もう嫌だ!」

と言って、泣き出したのだ。

 

なに、なに?

事態が飲み込まめなくて、困ったのだけど、途切れ途切れの説明を聞いたら、どうやら、息子が旦那に頼んで、任天堂スイッチというゲーム機に入れてもらったゲームのアプリのダウンロードが遅すぎてイライラして削除してしまったというのだ。

 

え? 

で?

説明を聞いても、正直、よくわからなかった、息子の涙の意味が。

「最近、自分勝手な自分のことがもう嫌だ!」

「え?」

自分責め?

 

「えっと、削除しなきゃよかったというわけではないのかな?」

息子が頷いた。

「じゃあ、もしかして、せっかく、お父さんにお願いして、アプリを入れてもらったのに、断りもせずに、イライラして勝手に削除しちゃったことを悔やんでいる感じ?」

また、息子が頷いた。

「そうか……」

そう言いながら、私は、次になんていう言葉を発したらいいか迷った。

 

これは、叱るところ? それとも、大丈夫だよ! って慰めるところ? それとも……。

迷った挙句、自分の口をついて出たのはこんな言葉だった。

 

「あのさ、確かにさ、もしアプリを削除したいと思ったら、頼んで入れてもらったとしたら、断ってから、削除した方がよかったかもしれないね」

「そうしようと思ったんだけれどさ、削除したくなっちゃったんだよ」

「そうなんだね。つい、イライラしてさ、気持ちが抑えられなくなっちゃうことって、大人でもあるけど、出来たら、一呼吸置けるといいね」

我ながら、小学4年生に向かって、難しいこと言ってるなって思ったけれど、例え、一呼吸置けなかったとしても、一呼吸置く大切さは知っておいて欲しくて伝えたんだなと後になって思った。

 

「もしさ、悪いなって思ったとしたら……、お父さんに正直な気持ちを話せばわかってくれると思うよ」

そう言いながら、息子がやったことが、すごく悪いことなのかどうかも、母親ながら、実は判断できてなかった。

多分、私の中にある、善悪を判断する基準が、うまく機能してなくて、全くぼやけた発言になってしまったなと、思う。

 

で、そればかりでなく、後になって、そこまで話す話だったかな? とも思った、こんな発言を私はしたのだ。

 

「お母さんもさ、ああすればいいってわかっていたのに、できてないこといっぱいあるよ。例えば、ここの書類をさ、今日こそは片付けようって思っていたのに、できなかったりさ。自分に、100点満点なんかつけられない日、ばっかりよ。でも、次は、できるようにって、前向いて、生きているわけ。だから、もしも、よくなかったなって反省することがあったらさ、次に繋げればいいんじゃないかな? 完璧な人なんていないからさ」

ここまで一気に話すと、息子は、突っ伏したまま、頷いていた。

 

そして、もう一言どうしてもつけ加えたくて、私は言った。

「だけどさ、ユウ、別に、人が注意したわけじゃないのに、自分のこと『自分勝手だな』って客観的に見て、反省したのはさ、すごいことだとお母さん思うよ」

息子は、意外そうに、ちょっとだけ顔をあげて、頷いていた。

 

「とりあえず、気を取り直して、勉強しよう!」

酷かな? とは思ったけれど、やはり、勉強は午前中にして欲しかったので、私は、そう付け加えた。

 

これで、母としての発言は、よかったのだろうか?

 

徐々に、気を取り直した息子は、どうにかこうにか、勉強を進めた。

 

その後、外に出ていた旦那が、お昼ご飯を食べに帰ってきた。

 

あの話をするのかな? って思っていたら、息子が、

「あのさ……」

と話し始めた。

 

ポツリポツリと話す息子に

「で? 理由は?」

「ダウンロードが遅くて消しちゃったんだね」

「別に消したことは、いいじゃん。なんで、そんなに話ずらそうに話すの?」

と言って、終了。

 

へ?

それだけの話だったの?

 

私は若干拍子抜け。

息子も、ちょっとポカーンとしてた。

 

もちろん、息子の自己嫌悪とかの話は出てなかったということもあるかもしれないけれど、同じ事実の話なのに、人が違うとこうも重さが違うのかとびっくりした。

 

私が最初にこの話を聞いた時

「大丈夫だよ。別にダウンロードが遅いから消しちゃっただけでしょ? 問題ないよ」

とでも言っておけばよかったのかな?

 

でも、人によって、いい悪い、許す許さないも違うのでね……。

 

人は完璧ではない! みたいな話まで、しちゃったことを、あちゃーと思いながら、まあいいかと、苦笑いしながら、このブログを書いている。