先週、母が白内障の手術をした。
もともと、緑内障を患っていて、さらに、白内障を併発してしまったからだ。
何年か前に、緑内障の手術をしたのだけれど、その時の手術は、治すためのものではなくて、進行を遅らせる手術だった。
今回の手術も、あくまでも白内障の症状を緩和するものであって、もともとの緑内障はそのままというか、徐々に進行するし続けているわけだから、劇的にどうにかなるわけでもなさそうだった。
それでも、少しでもよくなるようにと手術することを母は選んだ。
「お見舞いに行こうか?」
3泊4日の入院だというから、顔だけでも見せに行こうかと思ったら
「忙しいだろうから大丈夫だよ。お父さんも来てくれるし」
そう言われた。
正直スケジュールはいっぱいだったから助かったが、ちょっとだけ、胸が痛んだ。
退院した日、電話をした。
すると、いつもと変わらない声で電話に出てくれてホッとした。
入院中、他の患者さんと仲良くなったらしい。
今回の入院はちょっと不思議で、入院する病院と手術する病院が違ったらしい。手術の病院へ向かうとき、行きは自分でタクシーで行かないといけなかったらしいのだけれど、その仲良くなった人と一緒に行ったり、色々話をしたりして、それなりに楽しんだらしかった。
さすが、コミュニケーション能力が高い母だと感心した。
だけど、その方は、白内障だけの患者さんだったらしく、手術後に、視力が1.2に回復したと喜んでいたそうだ。
80歳を超えても、ゴルフをしている女性らしい。
「へーそんな人がいたんだね」
そう言いながら、母がちょっと落ち込んでいるのではないかと心配になった。
片や、視力が大幅に回復し、元気に動き回れる80歳。
母は、手術をしても、少し視界が明るくなったくらいで、視野は狭いまま。
ああ、なんて声をかけようか、迷っていたら、母はこう言ったのだ。
「ユウが成人になるまであと10年ちょっとは元気でいたいんだよね。だから、頑張らなくちゃ」
そうか、息子が20歳まで、あと11年弱。
10年後、母は88歳。
ぜひとも元気でいてほしい!!!
10年後、私もどうしているだろうか?
10年前、今の生活が想像できなかったように、10年後も、今想像できないような生活をしているかもしれない。
明日の命は誰もわからないけれど、それでも、未来を明るく捉え、一歩一歩前に進んでいく姿こそがかっこいいのではないかなぁ。
困難に見舞われても、塞ぎ込むことなく、一歩ずつ前に進む母の娘に生まれたことに感謝し、私も、たくましく生きていきたい。
「じゃあ、またね」
そう明るく言ってくれた母の声を聞きながらそう思った。