涙と笑顔のあいだ

ひといちばい敏感な小学生ひとりっ子男子の子育てを通し、母として成長させてもらいながら「ライター・小説家」になる夢も諦めない40代主婦のブログ

全力で一緒に走ったら、仲直りできるかもしれない。

最近、全力で走ったのはいつですか?

 

子どもの頃は、足が速い遅いということは置いておいて、何かっていうと、全力で走っていた気がします。

 

だけど、大人になってからは、小走りはあっても、全力で走るってことあんまりなかったです。

 

しかも、スポーツではなく、生活の中では、特に……。

 

だけど、昨日、全力で走りました。

 

 

昨日は、訳あって、イライラし、そして、走ったのです。

全力でした。

あの時、私は、確かに……。

 

昨日は、息子のスイミングスクールの日でした。

 

息子が、スイミングスクールに行くことに、乗り気でないのはわかっていましたが、先週ほど崩れてはいませんでした。

学校から帰ってきて、おやつを食べて、

「宿題先にしちゃったら?」

という私の声を聞かずに、iPadを見ていたけれど、揉めに揉めて、機嫌が悪くなっても面倒だと、打算的ではありますが、容認していました。

だけど、いよいよ時間だから

「宿題は、じゃあ、帰ってきてからでいいからさ、準備しな」

そう声をかけてみると

「あともうちょっと」

と言いながら時間が過ぎて行きました。

「もういい加減に用意しないと遅れるよ!」

少し声を大きめにして言ったら、チッっと舌打ちのような音をたてて、息子はようやく準備を始めました。

私もイラっとしたけれど、容認して、黙って待ちました。

いつもよりも3分くらい遅れて、出発しました。

お互いイライラしていたので、言葉も交わさず、5分くらい歩いた時、私は、息子が、プールの中で着るTシャツを忘れたことに気がつきました。

昨日は、着衣水泳の日だったのです。

「あれ? 今日、Tシャツいるんじゃなかった?」

「あ! そうだ! 忘れた」

「どうする?」

確か忘れた時は貸してくれたはず……そう思っていたら

「もう貸してくれないんだって」

泣きそうな息子。

もう!

イライラしたまま、無言で、踵を返して、早歩きで家に向かった私を、息子は

「今何時? 間に合う?」

泣きそうに訊ねながら、着いてきました。

「いつもより遅いよ」

意地悪を言うつもりはなかったけれど、気休めに、大丈夫だよと言う気もなく、事実を淡々と伝えると

「最悪だ。もう行きたくない」

息子はごね始めました。

面倒なことになったと思いながら、速足で自宅に戻り、Tシャツを持って出て、息子に渡すと

「間に合うかな?」

とまた訪ねてきました。

自転車の後ろに乗せて行こうかな? と思ったけれど、最近、大分息子も大きくなったので、それも厳しいなと思い、止め、とにかく、早歩きで進みました。

「体操の途中くらいには間に合うよ」

「地獄だ。もうやだ、行きたくない」

そう聞いた時、私の中で、プチンと音がして、何かが切れかかりました。

もっと早く準備すればこんなことにならなかったじゃん!

私は、息子にそう言ってやりたくなったけれど、ここで泣かれても、もっと混乱するからと、かろうじて、グッと耐えました。

じゃあ、どうしよう……。

その時、私の頭の中に「全力で走ってみる」というワードが浮かびました。

息子の顔をじっと見ました。

息子は、驚いていました。

「じゃあ、走ってみようか?」

「え? 走ったら間に合う?」

「わかんないけど」

そう言うと、私は息子の決断を待たずに、走り始めました。

「え? 待って!」

こんな風に、息子を先導して走ったことは、おそらく初めてでした。

息子は明らかに焦っていました。

だけど、怒りもあって、私は、後ろを振り返らず、走り続けました。

私は、決して、足が速くはありません。むしろ遅いです。そして、息子も遅いです。

だから、傍から見れば、ふたりはジョギングをしているくらいにしか見えなかったでしょう。

だけど、私は、必死でした。

全力でした。

そして、不思議なことに、気持ちよくなってきたのです。

後ろから、息子の咳が聞こえてきたから、息子は楽しくはなかったかもしれません。

だけど、私は、面白くなりました。

客観的に、私と息子の光景を想像したら、なんか笑えてきました。

おばさんと小学生が走っている図。

そして、おかげで、どうにか間に合いました。

息子も最後には満足気でした。

「がんばってくるね」

「うん。応援してるね」

いつものように、ロッカーの出入り口で、タッチをして、私は、息子に頼まれた買い物に出掛けました。

 

いつのまにか、私たちのわだかまりも消えていました。

 

イライラは、もしかすると、全力で走ることによって、軽減するのではないかと思った出来事でした。

 

また、もし、息子と今度喧嘩をしたら、一緒に走ってみようかな?

おばさんと、小学生が、怒りながら走っていたら、また、笑って仲直りできそうな気がします。