涙と笑顔のあいだ

HSC(ひといちばい敏感な子)中1ひとりっ子男子の子育てを通し成長させてもらいながら、日常のモヤモヤの純度を上げるべく綴る40代主婦のブログ

20年間音信不通だった兄からの頼まれごと《短編小説》

ライティングゼミ受講中の天狼院書店のHPに掲載していだきました!

 

子供の頃は、たくさん一緒に遊んだはずなのに、大人になると、縁遠くなる異性のきょうだい……

 

知らないこと、たくさんあるなと思って、想像して書きました。

 

フィクションです!

 

読んでいただけたら嬉しいです(^-^)

 

20年間音信不通だった兄からの頼まれごと《プロフェッショナル・ゼミ》

「あれ? これって、奈美のお兄さんからじゃない?」

会社から帰ってきた夫の龍之介が、集合ポストから郵便物を持ってくると、そう言った。

「え? まさか! だって兄さんとは、ずっと連絡取ってないもの。今更、手紙なんて来るはずない」

「だって、差出人の名前が、『田所 圭太』になっているよ。お兄さんの名前、確か、『圭太』だったよね?」

「え? そうだけど……

私は、龍之介から手紙を受け取ると、そこに書かれている文字にハッとした。

「そうね。確かに、兄さんの字だわ」

白い長封筒に、ボールペンで癖のある字が書いてあった。中身が、入っているのかいないのかわからないほどの薄い封書だった。

「なにかしら? 怖いわ」

「怖がることないだろう。大丈夫だよ。とりあえず、読んでみなよ」

「うん……

私は、恐る恐る、封筒にはさみを入れた。

中身は、便せん1枚だけだった。

そこには、同じく、癖のある字でこう書いてあった。

 

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