「ぼく、立候補したんだ……」
昨日の夕方、息子がぽつりとつぶやきました。
「ん? 何に立候補したの?」
「《昔遊び会》の初めの言葉……」
そう言うと、こたつの布団に潜り込んでしまいました。
立候補したにしては、沈んだ様子。
なぜだろう?
「立候補したくしてしたんでしょ?」
「みんなに勧められたんだよ」
「え? みんなに?」
ああ、そうか、まだ、クラスの代表の役をやったことがないから、やるように言われたんだな!
クラスのほとんどの子が、そういった役割をやりたがるから、自ら手を挙げない子にもやるチャンスが回るようにと、年度末が近づくと、優先的に、まだやっていない子に決まるんだと聞いたことを思い出しました。
「そうか! いいじゃん! 大丈夫! きっとうまくできるよ」
私がそう言うと、息子は、頷きながら、こたつの布団から顔を出しました。
目にはいっぱい涙をためていました。
「大丈夫だよ! おいで!」
こたつから出てきた息子を抱きしめて頭をなでました。
「きっとうまくいくよ! それに、もし失敗したって、たいしたことないよ。もし原稿を家で作るんだったら、手伝うし、わからなかったら、先生に聞いたっていいんだよ!」
そう言うと、息子は、泣きながら頷きました。
息子は頑張ろうとしている!
そう思いました。
「いつ?」
「2月」
「そっか! まだ時間あるから、一緒に考えよう!」
その後、もうひと泣きして、息子は泣き止みました。
試練を乗り越えて、成長してくれたらいいなと思いました。